青雲之志 町長コラム(10月)
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ルーツを探る旅
「還暦を過ぎて家庭も仕事もひと段落ついた今、自分のルーツを調べたくなったのよ」ご先祖が日野出身で、現在は東京にお住まいのご婦人に、こう言われたことがあります。役場から取り寄せた明治時代の戸籍を頼りに、自分のルーツを辿る旅に出られました。現地を訪ね、人と出会い、「そうだったのか」と多くの気づきを得られました。
役場では明治以降の戸籍を保管しています。いわゆる「明治19年式戸籍」というもので、住所表記に地番が採用されたほか、出生、死亡、婚姻、養子縁組の記載もあります。所定の手続きをしていただければ取得することができます。明治の戸籍に掲載されている方の多くは、江戸の終わりごろの出生なので、そのころまでさかのぼることができます。
私もさっそく戸籍を取り寄せ、家の過去帳と照らし合わせて見ると、多くの発見がありました。おじさんおばさんが法事に来ていた理由がよくわかりました。祖父には実は多くの姉がおり、幼少期に亡くなっていたことがわかりました。5代前の戸主は江戸末期に、栃木県内の日野商人の蔵元で働き、若くして現地で亡くなっていたこともわかりました。先祖を6代さかのぼるだけで100人以上の方に行きつくと言われています。私自身、今まで知り得なかったご先祖に想いを馳せ、魂の安堵感というものを感じた気がします。
さて、私のファミリーヒストリーには続きがあります。5代前の戸主は栃木県の蔵元で働き、現地で亡くなったわけですが、実はその現地の栃木県にお墓があること、そしてその蔵元は今もなお営業していることが判明しました。いつかそのお墓をお参りし、蔵元へも訪問したいと思います。そして、その蔵元が造る「桜川」という、創業当時からの銘酒を日野に持ち帰り、仏壇にお供えしたいと考えています。
広報ひの2024年10月号掲載
日野町長 堀江和博