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あしあと

    青雲之志 町長コラム(8月)

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    新酒誕生 三百年の時を越え、酒が里帰り

    この春、役場に一本の酒が届きました。醸したのは、岐阜県下呂市の天領(てんりょう)酒造。延宝8年(1680年)、日野から飛騨へ渡った近江日野商人を先祖に持つ蔵元です。当代の上野田 又輔(うえのだ またすけ)社長が、かねてより温めてこられた「先祖の故郷・日野の米で酒を醸したい」という夢を、日野町産の酒米・山田錦を用いた純米吟醸として、このたび実現されました。

    実現の陰には、多くの町民の皆さんのご協力があります。銘柄「神調社(しんちょうしゃ)」は、社長のルーツである上野田(こうずけだ)地区の若者たちが室町の昔から日野祭を取り仕切ってきた祭礼集団の名を、地区の皆さんが快く託してくださったもの。ラベルには馬見岡綿向(うまみおかわたむき)神社の社 信之(やしろ のぶゆき)宮司の承諾のもと神紋「二羽の雁がね」が配され、文字は書家の満田 法子(みつだ のりこ)さんが揮毫(きごう)、挿絵は町ゆかりの紀行画家・川村 和彦(かわむら かずひこ)さんが筆を執られました。一本の酒瓶の中に、日野の人と心が幾重にも織り込まれています。日野商人は江戸のむかし、遠く各地に出店を構えながらも、故郷への想いを決して手放しませんでした。その心が340年余りの時を超え、子孫の手で一本の酒となって帰ってきた――これほど日野らしい物語があるでしょうか。私もこの銘柄が決まっていく様子に立ち会い、胸が熱くなりました。

    天領酒造さんは、これまでも日野祭にお酒を献上してこられました。上野田社長は「100年、200年と皆さんに愛される酒になれば」と語っておられます。すっきりとした味わいは、まさに「神調社」の名にふさわしい、厳かで凛とした佇まい。日野菜との相性も良いとのことです。ふるさと納税の返礼品としてもお届けできるよう準備を進めています。ぜひ一度、この縁の詰まった一献を味わっていただければと思います。

    天領酒造「神調社」

    広報ひの2026年8月号掲載
    日野町長 堀江和博

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