青雲之志 町長コラム(10月)
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二つの商人の道
黒海のほとりにジョージアという国があります。日野町からはおよそ8000キロ。この遠い国から9月上旬、イラクリ・メズルニシュビリ国会議員、ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア特命全権大使、ヴァフタング・マイスラゼカスピ市長らの使節団が日野町にお越しになりました。今年3月に石塚 英樹(いしづか ひでき)・在ジョージア日本国特命全権大使ほか関係者の方々をお迎えして意見交換をしたのが始まりで、今回の本格的な訪問につながりました。
なぜ日野町なのか。理由は、彼らの祖先の生き方にありました。カスピ市周辺はシルクロードの商人たちが行き交った地。そこでは商売で得た利益を、自分のためではなく社会のために使うことが誇りとされてきたといいます。「陰徳善事」を旨とし、商いの利益を寺社や祭りにとどまらず、教育や地域のために惜しみなく貢献してきた近江日野商人。時代も言葉も違う二つの土地で、同じ精神が息づいていたのです。使節団の皆さんは日野商人の話に何度も頷き、目を輝かせておられました。
もう一つ縁がありました。ジョージアは約8000年前にワインが生まれた、いわば酒の故郷です。日野商人の多くは醸造業に携わり、今日でも全国には日野商人ゆかりの酒蔵がたくさんあります。また、18年前に日本最古の国産ワインが近江日野商人館で見つかったこともあり、その資料をご覧になった皆さんは大変驚かれ、「次は日野との関係を表すドキュメンタリーをつくりたい」とまで言っていただきました。近江日野商人ふるさと館では、日野祭の曳山囃子を聴いていただき、伝統料理も味わっていただき、日野町の伝統文化の魅力に深く感動されていました。
さて、この度のご訪問は、今後も大切にすべき貴重なご縁だと思っています。互いの地を行き来し、互いの歴史や伝統を学び合い、互いのお酒で乾杯する。そんな交流を、行政だけでなく町民の皆さんと一緒に育てていきたいと考えています。人口約370万人の小さな国と、小さな町・日野町。小さい者同士だからこそ、お互いの誇りを認め合える関係が築けると信じています。

広報ひの2026年10月号掲載
日野町長 堀江和博

